新型コロナウイルス対策

中国湖北省武漢市で2019年の年末に発生した新型コロナウイルス感染症は,瞬く間に世界中に拡大して多くの感染者、死者を出しています。

なぜ、猛烈な勢いで拡大し続けているのかといえば、「このウイルスが非常に伝染しやすいこと。」、「感染しても無症状であったり軽症のこともあること。」、「現代は人の往来が、国内外を問わず容易になっていること。」などが挙げられるかと思います。

まず、このウイルスの感染性ですが、最初は飛沫感染、つまり唾液や鼻水、痰などの比較的大きな水分の粒が問題視されていました。しかしその後、接触感染やエアロゾルが感染源となっている例が多いことが分かってきました。 ウイルスというのは感染した先の生物(宿主)の細胞を使って増殖しますから、通常は宿主を離れると長時間の生存は不可能です。ところが新型コロナウイルスは、アルミニウムなどの平滑な物質の表面などでは72時間も生存することが可能で、これが接触感染の多い理由かと思います。また、エアロゾルというのは湯気のような小さな水分の粒のことであり、これにウイルスが含まれると普通の呼吸では1m程度、荒い息や大声を出した時、子どもが泣いた時、くしゃみ、咳では数mの距離まで拡散することが考えられています。

無症状者や軽症者の存在も、このウイルス拡散に一役買っています。同じコロナウイルスの感染症で2003年に流行したSARSでは致死率も重症化率も高かったため、確かに恐ろしい 感染症ではあったわけですが、押さえ込みに成功しています。これは、感染から直ぐに重症化ししますから、感染者は行動しないわけで、これが広範なウイルス伝播を防いだと考えられます。一方、SARS 2(すなわち今回の新型コロナウイルス)では潜伏期も長く、特に若い方には無症状や軽症の方が多いため、普通に行動できてしまうようで、これが感染拡大につながっています。

交通網の発達、日本のインバウンド政策もまた、感染拡大 の要因となっています。ウイルスは人によって運ばれます。発生初期の中国人の移動、現在おいては、国内の首都圏から田舎への移動にくっついてウイルスが拡散しています。人の動きを止めることは、経済や文化の流れも止めてしまうことになりますので、都市封鎖などが有効手段と分かっていながら出来ないもどかしさがあります。

新型コロナウイルス感染は院内感染が多いことは、皆さん報道などでご存じの通りです。また、日本よりも先に爆発的感染の起こっている中国、ヨーロッパ、アメリカからの論文を読みますと、耳鼻科では特に院内感染が多いとのことです。しかし、これは耳鼻科の治療が元で、患者さんがウイルスをうつされてしまうということではありません。耳鼻科での院内感染とは、患者さんから医師や看護師などへの感染が多いのです。もし、耳鼻科で患者さんがうつされてしまうとすれば、待合室などで症状がなかったり、軽い症状で自覚のない方からの感染が心配されるところではあります。

といったところを踏まえまして、当院では以下の様に対策をしています。

完全予約制の導入 と待合室の混雑緩和

混み合った待合室はいわゆる3密状態になり易く、危険です。そこで当院では、待合室に入る患者さんを最小限に、また待合室での滞在時間も最小限にするため、完全予約制といたしました。普段は自動ドアの電源も切ってありますので、予約した方のみ入っていただくこととにしています。その際も、例えばお子さんの診察にお父さん、お母さんに、おじいちゃん、おばあちゃんまで付いて来られてしまいますと、やはり過密になりますので、お子さん一人に保護者一人に限定させていただきます。

待合室の雑誌類、絵本、おもちゃなども接触感染の元にならないとも限りませんので、置かないようにしております。

患者さん一組毎にソファー、脱衣カゴなどの消毒を行っておりますので、安心して院内でお過ごし下さい。 

また、診察や会計の順番を車の中でお待ちになりたい方のために、リプライコール(ポケットベル型呼び出しシステム)をご用意してあります。

オンライン診療

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、いわゆるオンライン診療の規制が緩やかになりました。 当院では、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎,睡眠時無呼吸などで通院中の患者さんで、病状の安定している方につきましては、電話と電子メールでの再診に対応いたします。 処方せんが必要な場合には、ご本人にFAX、もしくはPDFファイルなどで送付するか、薬局に直接FAXにて送信することが可能です。

オンラインでの初診につきましては、現在準備中です。

WEB問診票記入のお願い

 当院ではWEBでの問診システムのご記入をお願いしております。 事前にご記入いただきますと,受付がスムーズになりますので、  こちら からアクセスしていただき是非ご活用ください。WEB問診記入後、予約申し込みの際、受付に「WEB問診」に記入した旨、お伝え下さい。

院内トリアージの徹底

事前の問診にて、症状や周囲の感染の状況など、新型コロナウイルス感染症が完全に否定できない場合は、医院敷地内の別棟(プレハブルーム)に用意いたしました、臨時の診察室にて診察いたします。

鼻処置、ネブライザーの休止

鼻処置、ネブライザーはエアロゾル 発生の可能性があり、学会からの勧告もあり、現在休止中です。鼻咽腔、喉頭ファイバースコピー検査も同じ理由により、致命的疾患、癌が疑われる場合などに限定して行い、咳や、鼻水、鼻づまりの鑑別診断には用いない様にしています。当院ではEAT(上咽頭擦過療法)の効果に着目して行ってまいりましたが、現在はこれも休止中です。不本意ながら充分な検査、治療が出来ないことがございます。何卒、ご容赦ください。

手術の休止

鼻副鼻内視鏡手術、扁桃凝固術、鼻腔粘膜焼灼術など、ほとんどの手術は休止中です。これもエアロゾル発生の危険があるためです。同じ理由で、病院でもほとんどの手術を行わない方針です。待期手術休止の傾向は耳鼻科のみならず、外科系全てに及んでいます。今後、コロナウイルス感染が収束してから、あるいは検査精度が上がって、手術を受けられる患者さんに感染性のないことが証明されるようになったら、再開出来るようになるものと推測していますが、現在のところ目処が立っていません。

医師、スタッフの感染防御策

毎日業務開始前と終業後に検温を行っております。プライベートにおいていも、感染の機会を持たないよう注意して行動し、自身の健康管理にも注意しています。

業務中はフェイスシールド、ゴーグル、サージカルマスク、 グローブなどを使用いたします。マスク越しの会話となり、聞きづらかったりすることもありますが、ご容赦ください。

 

感染予防というのは、難解な病気をきちんと診断するとか、手術を的確に行うことなどよりもはるかに地味なことです。しかも,感染予防の目標は何事もなく医療を行うことであり、「あれだけ大騒ぎして厳重にやって,結局大したことなかったね。」という結果になればいいのであって、感染終息後、そう言える日が来るまで油断せずに徹底していきたいと思っています。